「ご自分で食事を作るのは難しい状態です。電子レンジの中に、温めすぎてかちかちに固まったご飯がそのまま置かれていたこともありました」

ヘルパーが「夜はこれを食べてください」と伝え、さらにメモで書き残しておいても、違うものを食べ、朝まで残っていたこともあった。メモを読むことはできるが、覚えていないことが多い。

それでも頼子さんはいつも穏やかで、ヘルパーが訪れると笑顔で迎え入れる。大の話し好きで、内容は忘れてしまうものの、「今日のデイサービスは楽しかったわよ」などと、会話を楽しんでいる。

 

コンビニでの買い物が何よりの楽しみ

もちろん、トラブルが起こることもある。

たとえば、この8ヵ月で2回、頼子さんは行方不明になった。1度目は、買い物に出かけたものの、家に帰る道を忘れてしまって。もう1回は、年金の知らせが届いたので郵便局に行こうと出かけたが、道端で途方に暮れていたという。

「いずれもご近所の方や警察から私たちの事業所に連絡が入り、無事保護することができました。足腰も丈夫で買い物好きなので、今いちばん心配なのが行方不明になってしまうこと。そこで、ヘルパーが訪問して不在のときは、必ずもう1回行って、在室を確認しています」(熊本さん)