今のところ大事には至っていない。
またあるときから、取っていない牛乳が届き始めたことにヘルパーが気づいた。訪問してきた販売店と、定期購入の契約を結んでいたのだ。本人は事情がわかっておらず、すぐ長男に連絡して解約してもらった。こういった手続きの問題では、後見人契約を結んでいない限り、基本的に親族が破棄を申し出る必要がある。ヘルパーにできないことは、問題が生じるたびに、長男に連絡を取っている。
お金の管理は悩ましい問題だ。頼子さんの場合、今は長男が管理している。家賃や光熱費などの支払いは直接行い、食料品や日用品に使う費用は、ヘルパーに手渡す。
買い物好きの頼子さんは、長男から渡された数百円程度のお小遣いで、近くのコンビニに行くのを楽しみにしている。
熊本さんによれば、「リフシア浜之郷」のサービス利用者のうち、認知症で独居をする人は、約4割だという。24時間を通じて随時対応できるよう、緊急通報装置を設置している。
「いつでもいいので、何かあったら、このボタンを押してくださいね」と言っているが、理解できているか曖昧な人も多い。頼子さんもそのひとりだ。
「それでも頼子さんは、ご自分のペースで生活し、買い物やデイサービスを楽しんでいらっしゃる。ご自宅での生活を元気に過ごせるよう、できる限りサポートを続けられればと思います」(熊本さん)