「高齢者は排泄があったとき、血圧が下がって意識がなくなることがあります。千鶴子さんも、すぐに持ち直しましたが、ホームで何度か倒れたことがありました。きっとご自宅でも同様のことがあるだろうと、推察できます」(暮らしネット・えん、多機能ホームまどか管理者、中本嘉子さん)
千鶴子さんのように高齢で独居の場合、ヘルパーが訪問したときに倒れているという可能性はある。中本さんは、ご家族に「最悪の場合も覚悟をしておいてください」と伝えているという。
独居ができる人に共通するポイントは?
長年、介護に携わってきた小島さんの実感では、認知症であってもひとり暮らしができる人には、いくつか共通点があるという。
まず、「排泄を自分で管理できること」。自力でトイレに行ければ理想的だが、リハビリパンツをはいていても、パンツが尿でいっぱいになる前に、自分ではき替えられればいい。
次に「隣近所との関係が良好なこと」。高齢者のひとり暮らしとなると、近隣の住民にとっては、火の始末が心配になる。そこを払拭していくことが大切だという。
「『電子レンジやIHを使用するので、火事の心配はありません』などと説明しておけば、理解が得られるのではないでしょうか」(小島さん)