専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、マーケティングライターの牛窪恵さんが、「ベランピング」について解説します。

キャンプ以外にも広がるテントの用途

新型コロナウイルスの影響で、多くの人が「ステイホーム」を強いられた。

そこで改めて注目されたのが「ベランピング」。「ベランダ」とゴージャスなキャンプを表す「グランピング」を合わせた造語だ。数年前から、自宅の庭やベランダにアウトドア空間を造る人が増え、コロナ禍では室内でキャンプを楽しむ「家キャン(おうちキャンプ)」族が急増。SNSでも「こんなふうに楽しんでいます」といった投稿が目立つようになった。

ベランピングの主役といえば、テントだろう。夏の時期、ベランダや庭にテントを張ると暑いのでは? とも思うが、最近は涼しさを追求した高機能テントも増えている。

モンベルが夏用に開発した商品「レラドーム」。雨の日はレインフライ(写真上、防水の覆い)をつけて使用する。夏の夜、自宅の庭やベランダでテント泊を楽しんでみては?(写真提供◎モンベル)

たとえば、アウトドアメーカー「モンベル」が販売する「レラドーム」。「レラ」はアイヌ語で「風」を意味する言葉で、通気性に優れたメッシュ生地を全面に採用。湿気も逃しやすいので、夏でも涼しさを満喫できるという。

一方、日差しが苦手な人に人気なのが、コールマンの「クイックアップドーム」シリーズ。同社の登録商標である「ダークルームTMテクノロジー」を採用し、日光を90%以上ブロック、一般的なテントとの温度差は最大で13.5℃にも及ぶそうだ。

コロナ禍でベランピングがブームになった理由は、在宅勤務や子どもたちの休校要請とも無縁ではない。私が取材した際は「仕事の合間にベランダで気分転換したい」という人が多かったほか、「居場所がないから、ベランダのテントで仕事している」と苦笑する夫や、「仕事中に子どもが騒ぐので、庭のテントで遊ばせている」と話す妻もいた。

そういえばわが家も、ベランダにスペースがある。今夏はベランピングに挑戦して、ゆるくキャンプ気分を味わってみようか。