撮影:山形屋平兵衛

 

亀屋粟義
みたらし団子

葵祭の斎王代が禊をする
御手洗池の底から湧き出す
水泡をかたどった
由緒正しき門前菓子

加茂みたらし茶屋の名で知られる亀屋粟義は、全国のみたらし団子の元祖。下鴨神社の糺ノ森(ただすのもり)にある「御手洗池(みたらしいけ)」が語源で、五月に行われる葵祭の際、主役の斎王代(さいおうだい)が禊(みそぎ)をする神聖な場所。みたらし団子は池底から湧く水の泡のかたちをあらわしているといいます。もとは下鴨神社の神前に供えて持ち帰る団子でしたが、近くに店を構える亀屋粟義が商うことを許されて、今では門前菓子として人気を誇っています。

 

米粉のみを丸め軽く炙ったやわらかな団子に、沖縄産の黒砂糖を使用した醬油ダレ。団子にからまるとろみは、持ち帰っても固くならないためのひと工夫だといいます。先の一つだけが少し離れて串に刺してあるのは、不規則に湧き出る水泡を表現するとも、祓えの人ひと形がたをかたどったものとも。糺ノ森で清らかな気をいただいた後、縁起物のみたらし団子を求めてゆくのは京都人の定番のコースです。