休日に出かける2人(写真提供:加藤綾菜さん)

ところが私たちは「なかなか世間に認めてもらえない婚」でした。結婚後もバッシングの嵐で、私は雑誌やネットで「財産狙いだ」「保険金詐欺だ」と非難される毎日。同時に「死ね!」「自殺しろ!」といったメールが1日に200通以上届く日々が始まったのです。

いたずら電話もひどかった。最初はなぜか友達が経営するネイルサロンに、私に対する罵詈雑言が綴られたファックスがガンガン送られてきて、そのうち仕事にならないほど店の電話が鳴り続けるようになって。

次は私の実家、そしてついにわが家の固定電話にも悪質な電話が頻繁にかかってくるようになったんです。カトちゃんが電話番号を変えてくれたんですけど、翌日にはかかってきました。それって怖くないですか?

そのほかにも自宅マンションのポストが荒らされたり、自転車が壊されたり……。警察に届けましたが、結果としてマンションにいづらくなってしまうのは私たちなんですよ。それで短期間に5回くらい引っ越しました。落ち着いて暮らせるようになったのは、結婚して丸3年が経過した頃です。私は外に出るのが怖くなって、2年くらい引きこもっていました。

ただ、結果的に夫婦の絆は強まったんです。お互いに「自分のせいで」と思っていたし、カトちゃんは「自分が悪く言われるのはいいんだけど、綾ちゃんが傷つけられることに傷つく」と言ってくれました。私が一番ショックだったのは、某週刊誌が発表した「嫌いな夫婦ランキング」でダントツ1位だったこと。ところが母から「一位おめでとう!」というメールが届いたんです。「なんだって一位になるのは凄いことだよ」って。(笑)

思えば、母にはいつも救われてきました。実は私、中学2年のときから高校を卒業するまでいじめに遭っていたんです。クラスメートから徹底的に無視されて、特にお弁当の時間がキツかった。なのでトイレの個室で食べていたら、上からホースで水をかけられたりもしました。精神的に追い詰められていたのでしょう。嘔吐して保健室に運ばれたことがあって。学校から知らせを受けた母は、私の苦悩に気づいてくれたんです。

今の父は母の再婚相手なんです。私が中学2年の頃、母はシングルマザーとして仕事と家事に追われて大忙しだったと思います。そんななか、寝る時間を削って、一人ぼっちのランチタイムが寂しくないようにと手紙を書いて、必ずお弁当に添えてくれました。高校を卒業するまでの5年間、毎日です。

本を引用したりしながら「頑張れ!」と伝えてくれる長い手紙のおかげで、私はいじめに負けずに毎日学校に通い続け、結果的にすごく強くなることができたと思っています。だからバッシングにも耐えることができたのでしょう。そもそも私、いじめに遭ってなかったら広島から上京してません。もしそうならカトちゃんと出会えなかった。人生って何が起こるかわかんないなぁって思います。