シミが増えたり、肌色が暗くなったり。夏の肌に表れるトラブルはそれだけではありません。肌の内側に目には見えないダメージが積み重なり、大切なものが失われている可能性も……。肌の夏疲れサインを見逃さず、早めの修復ケアで、若々しく活力ある肌を取り戻しましょう。まずは夏の肌ダメージの特徴を知ることからスタートです(イラスト=さとうあゆみ 文・構成=片岡えり)

ひと夏を過ごした肌に 起きているダメージとは?

肌を細胞レベルで観察し、老化や肌トラブルにつながる要因とその対策を追究するスキンケア研究のプロフェッショナルが、夏に受ける肌ダメージを説明します

 

Q. 夏の肌がダメージを受ける原因は?

一番影響が大きいのは紫外線。乾燥や寒暖差ストレスも加わります 

屋外だけでなく、室内にいても肌は紫外線の影響を受けています。エアコンによる乾燥、室内外の寒暖差、酸化した皮脂もストレスに。また肌が荒れているときは、自分がかいた汗も刺激になります。一方、湿度の高い夏は保湿ケアが手抜きになる傾向も。(稲葉さやかさん。以下同)

Q. 夏を乗り越えた肌は、どんな状態ですか?

肌表面は硬く、内部に微弱炎症が起こっている可能性が

水分不足になり、肌表面は乾いた土のように硬く、角層が乱れて外部刺激を受けやすい状態に。さらに深刻なのは、肌の内側が微弱炎症を抱えた状態であること。それが肌のターンオーバー(生まれ変わり)を阻害し、水分保持能を低下、角層の状態も悪化させます。

Q. 「肌は夏に老化する」と言われる理由は?

酸化や糖化が進みやすく変性たんぱく質が増えるから

肌を構成する3割がたんぱく質。私たちの肌は、アミノ酸を合成してたんぱく質を作り、再びアミノ酸に分解して再利用する循環システム「オートファジー機能」を備えています。ところが、加齢とともにその機能は低下し、体内の酸化や糖化により変性たんぱく質が蓄積。それが弾力の低下やシミを増やす要因になっているのです。紫外線は酸化や糖化を加速させるので、秋に変性たんぱく質が増えることがわかっています。

Q. 梅雨や夏に髪のくせが強くなる原因と対策を教えて

髪が水分を吸収すると内部の形状が一時的に崩れるから

大量に汗をかいたり多湿な環境になると、髪が一定以上の水分を吸収し、うねりやくせが出てきます。キューティクルに損傷がある場合、髪が湿気の影響を受けやすくなるので、ダメージを補修し髪をコートするケアを。

Q. 夏の肌ダメージを放置するとどうなりますか?

シワやたるみが目立ち、ターンオーバーも遅くなります

変性たんぱく質が増えると肌内部のコラーゲンやエラスチンが変質し、シワやたるみが進行します。また、水分不足でターンオーバーが乱れ、バリア機能が低下することで、外的刺激に反応しやすい状態にも。

Q. ダメージ肌のケアで大切なことは?

刺激を与えず、肌を癒やしながら滞った代謝を上げること

まずは肌の奥までたっぷり保水しましょう。保湿後は刺激を避け、炎症の鎮静を徹底。ビニールハウスのように、肌の湿潤環境を整えるのがベストです。低下した代謝を底上げして回復を促しながら、日焼け止めやインナーケアで酸化や糖化を抑えることも重要。

オートファジーに着目。最先端の研究に基づいたエイジングケアも登場