《フリムンシスターズ》

欠陥を抱えた女たちが出会い、歌って踊って、なぜか戦う!?

空間を遊びつくしながら、人間の繊細な部分を剝き出しに描く作品で観客の心を鷲づかみにする松尾スズキ。その松尾が、シアターコクーンに新作を書いた。2000年初演のミュージカル『キレイ-神様と待ち合わせした女-』以来20年ぶり、待望の「オリジナルミュージカル」だ。昨年末シアターコクーン芸術監督に就任した松尾が、就任後初の書き下ろしで、勝負に出る。

「フリムン」とは、「気がふれる」とか「狂ったような」を意味する沖縄の方言。故郷・沖縄の忌まわしい記憶を捨て去り、東京・西新宿のコンビニで住み込みのアルバイトをしながら暮らす女が、絶不調のミュージカル女優、その親友のゲイと出会う。

3人の「女」は、自殺願望のある青年、足の不自由な女優の妹、謎のバスタオルおじさんなど「フリムン」たちを巻き込んで、騒動を繰り広げる。過去と現在を行き来して、歌って踊って、なぜか戦うことにもなる、壮大なエンターテインメントだ。

出演には、人気、実力、華を兼ね備えた豪華キャストが揃う。コンビニで働く女、ちひろには、映画や舞台で新境地を拓き続けている長澤まさみ。松尾作品にはミュージカル『キャバレー』(17年)以来の参加となる。女優・みつ子は、『キレイ~』(初演、再演)など、松尾作品常連組の秋山菜津子で、松尾主宰「大人計画」の看板俳優、阿部サダヲがゲイのヒデヨシを演じる。ほかも、怪優・皆川猿時、舞台にも精力的な栗原類、自身でも脚本や演出を務めるなど多才なオクイシュージや、村杉蝉之介、池津祥子、猫背椿など、個性豊かな顔ぶれだ。

松尾は宣言する。「女たちは欠陥を抱えていた。自分を見失っていた。(中略)3人は都会の吹き溜まりで出会った。そして、大事なものを取り戻そうと思った。その中で歌とダンスが生まれた。なりやまぬ音楽。友情と戦いのダークファンタジー。これは、自由への叫び。そして、劇場の叫び」。

新型コロナウイルスによる自粛期間中はライブ配信などを行っていた劇場が、息を吹き返した。やっぱり生がいい。悪夢的な現実を、美しくもグロテスクな世界に塗り替える松尾ワールドを、劇場で存分に楽しみたい。

COCOON PRODUCTION 2020
フリムンシスターズ


10月24日~11月23日/東京・Bunkamuraシアターコクーン
作・演出/松尾スズキ 音楽/渡邊崇
出演/長澤まさみ、秋山菜津子、皆川猿時、栗原類、村杉蝉之介、池津祥子、猫背椿、笠松はる、篠原悠伸、山口航太、羽田夜市、笹岡征矢、香月彩里、丹羽麻由美、河合優実、片岡正二郎、オクイシュージ、阿部サダヲ
〈ミュージシャン〉佐山こうた、佐藤芳明、城家菜々、田子剛、阿部光一郎、今井ブン
TEL 03・3477・9999(Bunkamuraチケットセンター) ※大阪公演あり
※出演者が新型コロナウィルスに感染したため、公演の最新情報は劇場のホームページをご確認ください。

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《プレッシャー ─ノルマンディーの空─》

歴史的事実の真相は

第二次世界大戦の趨勢を決めた1944年の「ノルマンディー上陸作戦」。イギリス人の気象学者スタッグ博士(加藤健一)は、決行予定日の3日前にイングランドの連合国遠征本部に呼ばれ、その日の天候予測を命じられる。

しかしスタッグの予測はまさかの大荒れ。晴れでなければ決行は無理だ。だが、アメリカから呼ばれた気象予報士クリック大佐(山崎銀之丞)は晴れを主張し、予測は真っ向から割れる。はたして予定日の気圧(プレッシャー)はどうなるのか。

主人公たちにかかる重いプレッシャー。そして「決行が1日延期された」という歴史的事実の真相が明らかに。

2014年スコットランド初演の作品の、本邦初上演だ。

加藤健一事務所 vol.108
プレッシャー ─ノルマンディーの空─
 

11月11~23日/東京・本多劇場
作/デイヴィッド・ヘイグ 訳/小田島恒志、小田島則子 演出/鵜山仁
出演/加藤健一、山崎銀之丞、原康義(文学座)、加藤忍、西尾友樹(劇団チョコレートケーキ)、加藤義宗、鈴木幸二、新井康弘、林次樹(Pカンパニー)、深貝大輔
TEL 03・3557・0789(加藤健一事務所) ※京都、兵庫公演あり

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《ロボット・イン・ザ・ガーデン》(絵:酒井駒子)

劇団四季が英国人気小説をオリジナルミュージカルに

劇団四季がオリジナルミュージカルを発表する。イギリス人作家デボラ・インストールの人気小説を、長田育恵や小山ゆうななど日本を代表するクリエイターが舞台化した。

家事や仕事をアンドロイドが担う、そう遠くない未来。イギリスの田舎町に住むベンは、両親を事故で亡くして無気力に陥り、妻との仲もうまくいっていない。そんなある日、庭に壊れかけのロボット・タングが現れる。タングに不思議な魅力を感じたベンは、彼を修理するため、アメリカ、日本へと旅立つが……。

心に傷を抱えた男がロボットとの旅で人生を再生する。ロボットは、俳優が操るパペットで表現されるとか。これ、見どころですね。

劇団四季オリジナルミュージカル
ロボット・イン・ザ・ガーデン


~11月29日/東京・自由劇場
原作/デボラ・インストール 台本・作詞/長田育恵 演出/小山ゆうな 
作曲/河野伸 音楽監督/清水恵介 振付/松島勇気 舞台装置デザイン/土岐研一
パペットデザイン・ディレクション/トビー・オリエ
出演/劇団四季
TEL 0570・008・110(劇団四季)

※上演期間は変更の可能性があります。最新の情報は、各問い合わせ先にご確認ください