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専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、マーケティングライターの牛窪恵さんが、「マスクにつかない系リップ」について解説します。

口紅受難のこの頃、注目が集まって

秋は、口紅の新色が多く発売されるシーズン。ですが最近、コロナ禍でマスクを着ける女性が増え、口紅が売れにくくなっています。

あるドラッグストアでは今年4月、口紅などリップメイク製品の売上が、前年同期比で6割超も減少したとか。お土産にコスメを買うインバウンドの激減とともに、「マスクにつくのがイヤなのでつけない」といった女性の悩みも関係しているようです。

そんななか、いま話題なのが「マスクにつかない系リップ」。とくにSNSで話題を集めているのが、「リップティント」と呼ばれるタイプです。ティント(tint)は、「ほのかな色」や「染める」といった意味。いわゆる口紅やグロスとは違い、唇の水分量によって発色が変わり、色落ちしにくいとされます。

発祥の地は韓国。マットやオイル、ウォーターなどさまざまなタイプのリップティントが出ていますが、人気の理由はそれだけではないようです。

実は、リップティントは、もともと10〜20代女性に人気のアイテムでした。それがコロナ禍で40代以上の女性にまで波及した背景に、話題の韓国ドラマ『愛の不時着』があったのではとも言われます。

ヒロインのユン・セリを演じたソン・イェジンのナチュラルメイクに好感を持った視聴者が「韓国コスメっていいな」と見直し、そこに「マスクにつかないリップがあるみたい」と機能面での口コミも加わったのではないか、との説です。

日本でもリップティントを発売するコスメブランドが増えてきました。この秋は、マスクの下でもリップメイクを楽しんでみませんか?

日本のブランド・OPERAからも「リップティントN」(全8色)が発売されており、05番のコーラルピンクが人気色。塗った後にティッシュで軽く押さえると、よりマスクにつきにくくなる(写真提供:イミュ)