実家は築100年以上の一軒家

今年の長い梅雨の時季を終え、夏が過ぎ、また冬が巡ってこようとしている。「数ヵ月も放置している家の中は、カビや結露で大変なことになっているのでは」と不安を隠せない。

実家は築100年以上の一軒家で、以前から湿気を帯びやすかったという。最低限の風通しなどのメンテナンスをしなければ、老朽化はどんどん進む。

そこで叔母に「必ず玄関の戸を開け、反対側に風が抜けるようにしてほしい」と頼んでいるのだが、叔母は、自分の家側に近い窓しか開けてくれない。

「裏側も開けて、とお願いすると《ちゃんと開けている》とは言うのです。けれども以前、母を3年ほど東京に呼び寄せていたときも、一部の窓しか開けておらず、帰ってみると、湿気が立ち込め、床の一部が抜けてしまっていました。そういう経緯があったので、念を押してお願いしているのに、《物騒だから嫌だ》と譲りません」

プライドの高い叔母が自分なりの解釈で一生懸命やってくれているのは中村さんもわかるのだが、まずは家の維持が優先。空き家でも長女としては、父亡き後、母が長年手入れしてきた家を、なんとか守りたいのだ。

もちろん高齢の叔母を気づかい、中村さんが頼りにできる地元の友人や業者に風通しや掃除を頼もうとすると、「私がやっているから」と他人の関与を許さない。