重松 テレビで見るクイズ番組では、アナウンサーが読む問題文は、画面に字幕が出ますよね。つまり、目でも確認できるけど、収録の際、スタジオではどうなんですか?
伊沢 基本、聞くだけですね。
重松 それは集中力がいるな。
伊沢 聴覚だけということで得手不得手が生じます。日本語には同音異義語もあるので、問題文の単語を瞬時に頭で変換しながら「どっちだろう」と迷うことも。早押しって、早く押した人間ほどリスクを背負っているんです。
重松 わずかな文字数の情報で、答えを導き出さなきゃいけない。
宮崎 それだけに問題の一音一音が勝負なんですよ。
重松 そうなると、クイズを面白くするには、問題をつくる人のセンスも必要ですね。
宮崎 はい。間違えても、「ああ、そうだったのか」と、気持ちのいい問題ってあります。
伊沢 「こう間違えたけれども、その間違いも想定してひっかけたんだな」とか。無限択から、だんだん一択に寄せていく、デクレッシェンドのような構図になっている早押し問題が、ひとつの理想形ですね。
宮崎 問題を聞いていて「答えの決め手はここしかない」というポイントって、ありますよね。
伊沢 そこでボタンを押せると気持ちがいいし、誰かに押されたら「うわぁっ、やられた」と。
宮崎 そうそう。
伊沢 僕が大学3年生のとき、宮崎さんと早押し対決をして、負けたことが忘れられません。「ここしかない」という絶妙のタイミングで宮崎さんがボタンを押した瞬間、「ああ、これは負けて納得だ」と思いました。あのときの宮崎さんは最高に強かったです。
宮崎 わあ、嬉しい。その言葉を糧に一生やっていけるわ~。(笑)
伊沢 いい問題だと、いい勝負が生まれ、いい悔しさが残る。
宮崎 そう、「いい悔しさ」ってあるんです。