蛭子 女房は、俺が寝起きに誰かに話しかけている様子を見て驚愕したとか。そう言われて思ったんだけど、時々、夢と現実の境目が曖昧になってしまうことがあるんですよ。
あと、デパートの売り場に電車が走ってるのが見えて腰を抜かしそうになったり、家の本棚の本が燃えてるのを見て「大変だ!」って叫んでしまったり。籠の中に女房が倒れてる! と思ったら洗濯物だったってこともありました。幻視って言うらしいけど、あれはドキッとするから本当に嫌ですね。
マネ 私はそういう状態の蛭子さんを知らないのですが、今年に入ってロケ先の宿泊ホテルを自宅だと思い込んでいる姿を目の当たりにして心配になりました。そこで奥様と話し合い、蛭子さんの確認を得たうえで、『主治医が見つかる診療所』というテレビ番組の方に相談したのです。
その結果、番組内で認知症検査をしましょうということになり、岐阜のクリニックを訪れることになりました。プライベートですでに通院していたので、セカンドオピニオンという感覚で検査をしていただいたところ、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症を併発している可能性が高いと診断されました。
蛭子 番組内で検査を受けたから、認知症が進んでいると公表することになったけど、俺はもともと隠し事をするのは好きじゃないんです。しかも認知症って、高齢になれば誰でもなる可能性があるんでしょ。そもそも病気になるのは恥ずかしいことじゃないですしね。
だから街で、「蛭子さん、認知症になったんだってね」と話しかけられても俺は平気です。むしろ公表して生きやすくなったように感じます。ボーッとしていても、周囲の人がこの人は認知症なんだと理解してくれれば、人間関係も悪くならないし、楽じゃないですか。
マネ 周囲のご理解のおかげです。
子どもたちに介護してくれとは言えない
蛭子 とはいえ、病が進行していることを知って、少し恐怖も感じました。これからどうなるのかな? って。でも考えていてもしょうがないし。実際にはいきなり社会生活ができなくなるわけじゃないですから。
マネ 仕事もこれまで通りできますしね。あえて調整しているといえば、昼2時頃から暗くなる頃までに仕事をまとめているということでしょうか。旅番組や泊まりがけの仕事は控えていますが。