認知症患者の希望の星になりたい

マネ 現在は月に一度の割合で通院して、薬を処方してもらってます。

蛭子 担当医のことは信頼してるし、周りの人たちもサポートしてくれるから、快適に暮らしてます。

マネ 特にコロナ禍で外に出づらくなったから、奥様が三食ご飯を作ってくれるなど、サポートしてくれていますよね。認知症を進行させないためには、規則正しい生活が大事なのだそうです。

蛭子 女房が作ってくれるご飯を三食きちんと食べて、十分な睡眠をとって、事務所の人と一緒に30分くらい散歩する。今はそんな毎日です。『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』という旅番組に出演していたときは、「なんでこんなに歩かなくちゃいけないの!」とか文句言ってたけど、あれがよかったのかも。歩くのはちっとも億劫じゃないんですよ。問題があるとすれば、日暮れとともに心が不安定になってしまうことかな。女房が視界から消えると「どこへ行ったのかな」って思って、いてもたってもいられず探してしまう。

マネ 仕事のときホテルをフラーッと出てしまったこともありましたね。

蛭子 みんなに心配をかけて悪いことした。特に女房には感謝してます。俺、ずいぶんと変わりました。

マネ 蛭子さんは、根っからの九州男児で、面と向かって「ありがとう」なんて絶対に言わなかったんです。

蛭子 自然と言えるようになりましたね。「ありがとう」って言うと、女房も嬉しそうにしてます。女房に捨てられたら生きていけませんよ。何度も言うけど、そのためにも働き続けないと、金の切れ目が縁の切れ目になったら困ってしまう。(笑)

マネ 蛭子さんが病気を公表することで、認知症を患ってもできることがいっぱいあるって知ってもらえたら嬉しいですよね。「希望の星」になりましょう! と話しています。

蛭子 生涯現役で仕事を続けながら、プライベートでも楽しく生きていくことが俺の役割なのかなって、今は思ってるんです。

※『〈婦人公論の本〉明るく、強く 認知症とともに生きる』内にてインタビュー

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2025年には65歳以上の3人に1人は認知症になると予測されています。
「いつかは自分も……」と思っていても、
実際に自分や家族、身近な人が診断されたら戸惑うことも多いのではないでしょうか。
そんなとき慌てず対応するために知っておきたいのが、病気との付き合い方。
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