助産師のある1日

ここで、福田病院の助産師のリーダー・福江恭子さんのある一日を追う。

●午前8時出勤

勤務形態は日勤(8時半~17時)、準夜勤務(16時半~1時)、深夜勤務(0時半~9時)の三交代。

病院に到着すると、まず自分がいなかった準夜勤、深夜勤の間になにがあったのかを把握。深夜勤のスタッフから引き継ぎをしてから勤務に就く。

日本一赤ちゃんが産まれる病院』(亀山早苗・著/中央公論新社)

今日は9時から帝王切開が予定されている。この産婦は数日かかっても思うようにお産が進行しなかった。医師が、ここまでいろいろなことをしてきたが進行せず、母体もかなり疲れてきているし、赤ちゃんもきついと説明し、帝王切開を勧めた。

日にちがかかるのはとてもつらいのだ。産婦はモニターやいろいろな機器につながれて点滴もしているので、体の自由がきかない。部屋から出ることもできないし、先が見えない不安もある。

シャワーを浴びることができるかどうか、食事は自分でとれるのか、せめて足浴くらいさせたい。ご家族も疲れてくる。そこで担当助産師が4、5日かけて彼女と話し合った。結果、ご夫婦で前向きな気持ちになって帝王切開を受け入れてくれることに。

産婦本人がどうがんばってもお産が進行しないことはある。それなら最初から帝王切開にすればよかったと思う人もいるかもしれない。だが、ここまでがんばったことには意味がある。私たちは常に産婦が納得してくれる医療サービスを提供しなければいけないのだが、大前提は安全であること。

自然分娩ならよくて帝王切開だといけないということはない。大事なのは赤ちゃんが無事に産まれること、母体の安全、そして産婦が納得して産まれてくる赤ちゃんを受け入れてくれること。

帝王切開で無事に赤ちゃんが産まれ、ご夫婦ともに笑顔。この笑顔が私たちを元気づけてくれる。