スタンダードの部屋でさえ、広々
病院の資料を見ると、現理事長の福田稠(しげる)さんが1981年に3代目の院長となったときから、病院は建物の増改築というハード面と、患者の入院生活にかかわるソフト面との改革を続けてきたことがわかる。
現在は病床数161。一般病棟96床、新生児65床。地域周産期母子医療センターとしての機能を備える。診療科目としては、産科(周産期)、婦人科、乳腺外科、肛門外科、生殖内分泌科、東洋医学漢方診療科、小児科(新生児)、小児外科、新生児内科、麻酔科がある。不妊治療から妊娠、出産、婦人科系の病気、さらに更年期治療まで、つまり女性の一生にわたる体のケアを担うことができるのだ。
院内施設としては、女性専用メディカルフィットネスクラブ、エステティックサロン、病院施設利用者・患者専用託児所、入院患者とお見舞いの人専用のラウンジが3つ、患者専用のレストランが二つ、他に美容室、レストラン、売店、ベネッセおやこの広場なども設置されている。
筆者が最初に病院を訪れたのは2015年だった。
「この借景が自慢なんです」
案内してくれた福田理事長が笑った。入院した人は東棟(本館)10階のレストラン「レ・セゾン」で毎食とるのだという。
厨房には石窯が見える。「あれはピザ専用の窯です。パンも厨房で焼いているんですよ」。さらに案内された和食レストラン「四季亭」は、廊下の小さな太鼓橋を渡って入り口がある。まさに料亭のような雰囲気だ。
エレベーターで9階に下り、病室を案内されて、そうだ、ここは病院だったのだと我に返る。しかし、病室もまた一見ホテルと見紛うような落ち着くしつらいなのだ。全室個室。スタンダードの部屋でさえ、広々として家族が来ても充分座れるソファが完備、浴室や小さなキッチンもついている。