一般病室。全室個室をつらぬいている

女性の人生をバックアップしていきたい

さらに最新の高度な医療機器を備えた手術室や新生児センターも案内してもらった。次は、出産後のお母さんが無料で利用できるエステへ。そして圧巻だったのは、病院内にプールやジムがあることだ。病院なのかレジャー施設なのか、はたまた女性専用ホテルなのか……。

東棟(本館)、南棟、西棟はすべて渡り廊下でつながっており、案内はされたもののまるで迷路を歩いているよう。一気に施設内を見学させてもらったのだが、「病院」のイメージから遠すぎて、私は混乱していた。

「増改築を繰り返していますから、初めて来たら一人では歩けんね」

福田稠理事長

熊本弁でそう言って、彼はまた笑った。こちらの戸惑いを察しているらしい。

理事長室に落ち着くと、福田理事長は真顔で言った。

「とにかく女性の人生をバックアップしていきたい。そういう病院なんです。通常の出産は、女性にとっては人生の幸せな1ページ。もっとハッピーに産んで、その後の子育ても不安なくおこなってほしい。もちろん、産まれた赤ちゃんに病気があったり低体重だったりした場合は、すぐに対処したい。どんなときも、患者さんのためになにができるか。すべては患者さんのために。そう思って改革を進めてきたんです」

「出産の主体は誰かということが大事だと思うんです。決して医師や助産師ではない。あくまでも妊産婦さんが主体。これがぶれたらいかんと思っています」

最近では遠方から評判を聞きつけてやってくる妊産婦もいるとのこと。彼女たちにとってそれほど魅力的な病院なのだ。親子三世代で「ここで産む」人が多いのもうなずける。

※本稿は『日本一赤ちゃんが産まれる病院』(亀山早苗・著/中央公論新社)の一部を抜粋・再編集したものです