時代は変わり、女子校生も変わった
一方で、精神的にタフなのも女子校出身者の傾向です。女子校出身の娘さんがハードな業種の広告代理店に勤めている知人女性(その人も女子校出身)によると、「娘は打たれ強くて、何を言われても気にしない。『おっさんがなんか言ってるよ』くらいの感じで適度に流してるみたい」だそうで、頼もしいです。女子校時代、才気煥発な友人たちと会話の応酬をすることで、メンタルが鍛えられて、キツい言葉を投げかけられてもダメージを受けなくなるのでしょうか。
また、かつて言われた「気が利かない」問題ですが、今は女性がサラダを取り分けたりお茶をいれたりといった慣習は、男尊女卑で古い価値観だというイメージが強くなっているので、それらの雑務からは解放される方向に……。女子校出身者は時代の変化とともに生きやすくなっています。
男性編集者にリサーチすると、女子校出身者の印象として「愛校心がある」「濃厚な趣味を核に女性同士のネットワークを幅広く持っていて事情通」「仕事ぶりはきめ細かく丁寧」「柔和でサバサバしていて、コミュニケーション能力に長けている」「ジェンダーの枠を超えて生きたいように生きている」といったありがたい言葉をいただきました。以前のように、男性に不慣れな印象で挙動不審になってしまう女性は少ないとのこと。おそらくSNSがあるので小学校時代の男子や塾の友人とつながったり、異性と連絡を取りやすくなっていることが影響しているのでしょう。
SNSによる変化としては、かつては自然体すぎて見た目にあまり構わないワイルドな女子校出身者も多かったのですが、スマホの自撮り文化や“映え”カルチャーのおかげか、自分の見せ方がうまくなっている人が多いようです。髪型やメイク、着こなしなども洗練され……複数の女子校で「うちの学校の生徒はグループアイドルよりかわいい」という声が聞かれました。
時代の変化とともに進化し、アップグレードしている女子校出身者。「女性活躍推進法」や「女性が輝く社会」といったお仕着せの制度がなくても、自ら道を切り開いて輝く力を秘めています。
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“女性活躍”を掲げながらジェンダーギャップ指数は153ヵ国中121位、
コロナ禍で女性が多くを占める非正規労働者やシングルマザーがおかれている過酷な現実など、いまだ社会の構造を変えられない日本の課題を考えます。