「あの一件は、父、私、社員、誰にとってもハッピーではありませんでした」
大塚家具の大塚久美子社長が、本日発売の『婦人公論』6月11日号で、4年前の騒動から現在に至る心境を語っている。
経営権をめぐり、父と娘の対立する構図が報道された、“お家騒動”から4年。あの騒動は「あくまで会社の経営に関してのもの」だったという。
「経営権を親子で争うような事態に引きずり込まれ、父に背いた娘、というイメージが作り上げられました。株主からは現職であった私が支持されましたが、世間からはいわれのないバッシングを受け、本当につらい思いをしました」
今年4月26日、久美子社長は、父・勝久氏の立ち上げた「匠大塚」の新店舗を訪れた。騒動以来、親子が顔を合わせるのは初めてだ。なぜ今だったのだろうか?
「今回会いに行ったのは、大塚会長に『スローファニチャー』の会の名誉会長への就任を依頼するためです。この会は、〈伝統的な職人技と誠実なものづくりの精神を広めていく〉という趣旨のもと、私と飛騨産業の岡田贊三社長が代表発起人となって立ち上げた業界団体です」
そして、父から学んだ精神を語る。
「『いい家具を長く使ってもらいたい』という思いは私が父から引き継いだもの。父も参加してくれれば、家具のものづくりの素晴らしさをより多くの人々に発信し、家具業界全体を盛り上げることができると思っています。残念ながら、父には名誉会長就任を辞退されてしまいましたが、入会のお誘いもしていきますし、機が熟すまで名誉会長の職はあけておきたいと思います」
「匠大塚」との業務提携の予定はないとするも、「今の気分としては、『和解』よりも、家族の雪解け」と明かした。