簡単なパターンを繰り返し描いて、世界にひとつだけの美しいアートに。「今、ここ」に集中することで、気持ちを穏やかにする効果も期待できます(画・解説=佐藤心美)
無心になって自由に描画を楽しむ
曼荼羅などの細密画を描いて楽しむ芸術は、世界各地で見られます。繰り返されるパターン模様を無心に描き、眼の前の作業に集中する行為は、写経や瞑想のように心を落ち着かせ、穏やかにする効果があるといわれています。
ここでご紹介する「ゼンタングル」は、Zen(禅)とTangle(もつれる、からまる)を合わせた造語ですが、作品に宗教性はありません。2004年にアメリカで考案されたアートの一つで、パターンを組み合わせて描くことで作品に仕上げていきます。
300種類以上あるパターンは、吉祥文様の青海波(せいがいは)や矢絣(やがすり)のような日本人になじみ深いものから、ネイティブアメリカンの文様に似たもの、西洋風の動植物モチーフや幾何学模様まで幅広くあります。
描きながら組み合わせを考えるのですが、途中のインスピレーションでモチーフを変更することもあり、それがまた味になります。出来上がった作品に色をつけたり、カードにしたり、額に入れたりと自由に楽しみましょう。
実際に描くときに心がけるのは、お手本通りにならなくても気にしないということ。もともと上下もなく、間違いもありません。ですからたとえ曲がったり、かすれたりしても、思いがけない結果を楽しめばいいのです。紙とペンさえあれば、ちょっとした空き時間に気軽に始められるのも魅力。
作品をつくる前と完成時には、創作の楽しいひとときを過ごせたことに感謝の気持ちを持ちましょう。
新たな年を澄んだ心で過ごすために、曼荼羅を描いてみませんか。