プラスチックは、いずれゴミになり、処分するために火力や電力など大量のエネルギーを消費せざるをえなくなるので、私はなるべく家に持ち込まないようにしています。それに引き換え、自然素材でできたものは、将来壊れて使えなくなっても、自然に戻すことができます。たとえば藁製品は燃やせば藁灰になり、肥料としても使えますし、木や竹も朽ちれば土に返ります。エネルギーを浪費せず、そうやって循環するのです。

料理をする際も、材料を「無駄にしない」「捨てない」ことを心掛けています。野菜の皮を干し野菜にしたり、細切りにしてきんぴらにしたりと、いかに美味しく食べるかを考えることも家庭料理の醍醐味ですから。それでもどうしても出てしまう小さな野菜くずなどは、スープをとり、さらにコンポストを利用して堆肥に変え、土に戻すようにしています。

 

修理して使い続ける

私は25年前にイタリアに住まいを持ちましたが、ヨーロッパ流の「始末のいい暮らし」をイタリアでたくさん学びました。 3人の子どもがようやく手を離れた頃に料理の仕事をはじめ、ずいぶんと忙しくしていた私は、自分だけの時間が欲しくて海外を旅するようになったのです。ある時、イタリア中部ウンブリア州の小さな城壁の町を訪れて、その土地に心を奪われました。そして、「この町に住む」と決意し、約1年足繁く通って何十軒も見てまわり、ようやく「ここだ」と思える建物に出会いました。

イタリアの家は石で造られていることが多いので、何百年、あるいはそれ以上経っても壊れません。友人の家の入口は、ローマ時代のものだそうです。とても小さくて、背が高い人はかがまないとくぐれません。(笑)