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離れて暮らす親がケガをした、認知症になった……介護を抱える子どもにとって、コロナのもたらす影響は大きいようです。3人の女性のヘトヘトな日々は――。1人目の川谷さん(仮名)は、遠く離れた地にいる母の様子が気になっているようです。(取材・文=上田恵子)

筆者の母は先日、家の中で転倒し、自宅での療養を余儀なくされている。すぐにでも実家に駆けつけたかったが、「感染者の多い東京で暮らす私が、高齢の両親に会うのは危険なのでは?」と、暗澹たる気持ちに。幸い元気な父が「自分が世話をするから大丈夫!」と買って出てくれ、買い物や食事のフォローは実家近くに住む弟夫婦がしてくれて何とかなっている。

施設や病院を利用していれば、接触制限のルールにより、負担は増える一方だと聞く。ただでさえ気を揉む介護にコロナが上乗せされた今、世の親子はどんな問題に直面しているのだろうか。また、家族関係に新たに生じたものはあったのか。

 

認知症の母の世話を兄夫婦に託したけれど

川谷真紀子さん(仮名、64歳)は、「兄嫁が間に入っているせいで、もどかしくて……」と話す。真紀子さんは埼玉県で生まれ育ち、結婚したが、「定年後は自然豊かな故郷で暮らしたい」と望んだ夫と、6年前に新潟県に引っ越した。

「10年前に父が亡くなり、埼玉の実家には母が一人で住んでいました。以前は私も車で15分の距離にいたので頻繁に訪ねていたのですが、遠くに離れてしまったうえ、5年前に姑と同居が始まり家を空けられなくなって。そうこうするうちに、母に認知症の症状が見られるようになったのです」