真紀子さんは100歳を迎える姑の世話をしているが、時々、夫の身内にスマホのテレビ電話で姑の様子を見せると、「おお、顔色も良くて元気そうだ」と、皆喜んでくれるのだそう。
「兄嫁も母にスマホを渡して、私とテレビ電話をさせてくれたらいいのに、そんなことは頭にないみたい。頼めばやってくれるのかもしれませんが、後で兄に『また真紀子さんが面倒くさいことを言ってきた』なんて告げ口されたらイヤですしね。この間さりげなく、『ホームではオンライン面会はやっていないのかしら』と聞いたら、『経費がかかるだろうから、ないんじゃないですか』と、施設に確認もせずに話を打ち切られて」
兄嫁のそっけない態度は今に始まったことではなく、過去、母が兄の家を訪ねた際も、玄関から先にはあげてもらえなかったのだとか。また贅沢な暮らしぶりのわりにしまり屋で、他人のためにはビタ一文出さないという。
一日も早くワクチンを接種して母に会いに行きたい
「先日も『お墓を建て直すので、お義母さんの預金から費用を出させていただきます。私たちも同じお墓に入りますけどね。真紀子さんも入れてあげるわよ〜(笑)』と言われました。うかうかしていたら母名義の実家も取られそうなので、それだけは阻止するつもり。でも『介護費用が足りなくなったら家を売らせていただきますね』と宣言されてしまったので、どうなりますか……」
自分の目で母の様子を見て、面と向かって兄嫁と話せていたら、もどかしさは生まれなかったかもしれない。もやもやするのは自由に行き来できず、1年以上も離れているせい。だからこそ、一日も早くワクチンを接種して母に会いに行きたい、と真紀子さんは話す。次の誕生日が来れば65歳以上の高齢者接種枠に入れるので、その日を心待ちにしているそうだ。