現在、中高年層向けの婚活が注目されている。結婚相談所や知人の紹介などで新たな伴侶と出会った人たちは、成熟した大人同士ならではの苦労と喜びを経験していた。良子さん(仮名)は家族の理解が得られず苦しんだが…(取材・文=篠藤ゆり)

目も合わせないし、口もきいてくれない

時間をかけることで、家族の理解が得られる場合もあるという。その典型的なケースが、48歳の時、20歳上の男性と再婚した滝川良子さん(仮名)だ。お相手の雄司さんは、妻を病気で亡くした後、一時酒浸りの生活を送っていたが、なんとか立ち直ろうと再婚を決意。婚活パーティで良子さんと出会った。

「彼のお姉さんと妹さんは、私のことを『財産目当ての魔性の女』と彼の息子に吹き込んだみたいです。こんなにぼんやりした女なのに(笑)」

良子さんと一緒に暮らし始める時、雄司さんは息子に自宅の土地家屋を譲ると口頭で約束したが、それでは信用できないと息子が言い出した。そこで土地家屋を息子に生前贈与し、税金もすべて雄司さんが払った。

「お正月に挨拶に行くと、彼のお姉さんと妹さんは私と目も合わせないし、口もきいてくれない。つらかったです」

雄司さんはそんな良子さんを気の毒に思い、家族とは縁を切ってもいいから、結婚する際は良子さんの戸籍に入ると言ってくれた。

「嬉しかったです。もともと彼は、私に同情して結婚してくれた面もあったのかもしれません」

良子さんは最初の結婚で長男、長女、次女をもうけたが、長男が生まれた頃から夫の壮絶なDVが始まる。姑からは「怒らせるあんたが悪い」と言われ、良子さんが児童福祉施設で育ったことを理由にして「あんたには家族というものがわからない」ともなじられた。

暴力が子どもにまで及ぶようになると、さすがにこのまま我慢していてはいけないと思い、自立のために看護師の資格を取ることを決心。最終的に警察が介入し夫に接近禁止命令が出て、なんとか離婚にこぎつけた。