「介護のために結婚するの?」
疲れ切った良子さんは、次は自分を守ってくれる男性と結婚したいと思い、まずはネットの婚活サイトに登録。1年半ほどの間に何人かの人とお見合いをしたが、これといった出会いはなかった。そんな時に知ったのが、太陽の会だった。女性の入会金が3000円、月会費が1500円。月に1度パーティが開かれ、成婚料は5万円だ。良子さんは体験参加したパーティで、雄司さんと出会った。
「頼れそうだし、優しいし、一目で『この人しかいない!』と思いました。20歳上だということに不安は感じなかったのですが、友人からは厳しい意見が多くて。『介護のために結婚するの?』と言った人もいます」
最初のデートから意気投合。その後、何度かデートをするうちに、「泊まっていかない?」と、自分から誘った。
出会いから7年。現在は良子さんの次女と、3歳になる孫と4人暮らしだ。郊外に一軒家も購入。
74歳になる雄司さんは、狭心症の発作を起こすなど、ここ数年健康状態が安定しない。良子さんは看護師として働きながら、献身的に夫の世話をしている。
「今年になって、彼のお姉さんと妹さんの態度が変わったんです。電話をくれたり、『食事に行かない?』と誘ってくれたり……驚きました」
雄司さんと良子さんの様子を見て、考え方が変わってきたのだろうか。姉妹との雪解けは近そうだ。
良子さんは日課の散歩中、必ず雄司さんと手をつなぐか腕を組む。一緒になった頃は甘えるつもりでつないでいた手が、今は、歩くのが大変な彼を支えるための手に変わった。
「ここまでくるのに7年かかりました。あとは、できるだけ彼に長生きしてほしいと願うばかりです」
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取材中、ある女性が言った「私たちにとって、婚活は究極の終活と言ってもいいかもしれません」という言葉が忘れられない。残りの人生を助け合い、一緒に笑い、共に歩む人が欲しい。再婚は、その切実な願いを叶えてくれる道なのかもしれない。