現在、中高年層向けの婚活が注目されている。結婚相談所や知人の紹介などで新たな伴侶と出会った人たちは、成熟した大人同士ならではの苦労と喜びを経験していた。57歳のなつみさん(仮名)が彼と出会ったのは…(取材・文=篠藤ゆり)

自宅に戻ったら、夫の浮気相手と鉢合わせ

結婚相談所やネット婚活などに頼らず、自然な出会いからパートナーを得たのが村田なつみさん(57歳)。49歳の時、ゴルフ仲間が集う飲食店で12歳上の男性と出会い、相手から望まれて交際が始まった。

「ゴルフ仲間」というと優雅に聞こえるが、なつみさんのそれまでの人生は決して平坦なものではない。

「23歳で大学の先輩と結婚しました。3年後に次男を里帰り出産して自宅に戻ったら、夫の浮気相手と鉢合わせしたんです。それ以来、性生活を受け入れられなくなり、夫は浮気を繰り返すようになりました」

その後、1年間の別居を経て離婚。養育費ももらえず、子どもは家に残すしかなかった。なつみさんはそのことを、ずっと悔いていたという。

離婚後は印刷関係の会社で正社員の職を得て、必死で働いた。ところが37歳の時、友人の紹介で知り合った7歳下の男性と交際を始め、人生がさらに暗転する。言われるままに、7年間で計500万円も渡してしまったのだ。やっとのことで別れ、3年かけてサラ金からの借金を返済した。

「全額を返し終えた時、『これからは、自分の楽しみも見つけたい』と思って。仕事先の人に誘われてゴルフの練習場に行ったら、球を打つ爽快さにすっかりハマってしまいました」

すぐにゴルフ仲間もできた。心の余裕が生まれ、「誰かいい人がいたら結婚したい」と思うようになっていた。借金を完済したとはいえ家計は苦しく、ゴルフ場にはなかなか行けない。そんな様子を察した仲間たちがさりげなくカンパを集め、ゴルフコンペに誘ってくれるように。

そのなかの一人が、会社経営者の村田清二さんだった。清二さんは妻をくも膜下出血で亡くし、10年ほどシングル生活を送っていた。

「つきあってから半年後に、『結婚しないか』と言われた時は、正直、悩みました。彼はちょっと太っていたから(笑)。でも、大人ならではの安定感がありましたし、性格もすごくあたたかい人で、男女問わず人気がありました。なにより、この先もずっと仕事やお金に追われる生活はいやだ、誰かに頼って生きていくのもいいのかな……と思ったことが大きいですね。やがて彼と結婚したい、という気持ちに傾いていきました」