束縛もせず、自由にさせてくれる
結婚してから8年。歳が離れているので喧嘩にならないし、束縛もせず、自由にさせてくれるのがありがたいという。70歳になった清二さんは会社の整理を始め、終活の一環としてなつみさんの故郷にお墓を買いたいと希望した。
「私が生きている間はいいけれど、その後を考えると──二人で樹木葬か散骨にしたいと言ったら、理解してくれました」
目下、なつみさんは90歳になる父親の介護のため、東京と岩手を往復する生活。「彼の理解がなければ、親の面倒もみられなかった。一人でいるのが子どもたちを置いてきたことへの罪滅ぼしだと思っていましたが、再婚してよかった。彼には本当に感謝しています」。
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今見てきた二人のように、新たなパートナーと出会うことで人生後半の展開が大きく変わることがある。では実際に再婚をしたいと考えた時、どんなことに気をつければよいのだろうか。結婚相談所「太陽の会 宇都宮」の会長として中高年の出会いのきっかけづくりに長年携わっている斎藤尚正さんに、婚活をする際のポイントを伺った。
「相手に多くを望みすぎないこと。そしてパーティ形式の場では、誰とでも感じよく話す女性は男性の人気が高いです。興味のない人には仏頂面をするような女性は、敬遠されてしまいます」
続いて、結婚へと進んだ場合に注意すべきことを聞いた。
「中高年になってからの再婚は、近いうちに、闘病や介護と直面する可能性が高い。また相手の年齢によっては、別れが早く訪れることも。その覚悟を持つことと、お互いの持病などを把握しておくことが必要です」
シニアの再婚で避けて通れないのは、お金のことだ。また、前の結婚で子どもがいる場合は、将来的に遺産分配でもめる可能性がある。
「子が親の再婚に賛成していないなら、なおさらです。トラブルを避けるため、再婚後に公正証書か遺言書を作ることをお勧めします」
太陽の会では、成婚したカップルのうち約30%が、その後、破たんしている。その一番の原因が、家族との関係だ。「相手の親やお子さんとうまくいかず、離婚するケースも。家族の理解を得る努力は大事です」。