離れて暮らす親がケガをした、認知症になった……介護を抱える子どもにとって、コロナのもたらす影響は大きいようです。3人の女性のヘトヘトな日々は――2人目の東えりかさんは、義母のがんが発覚してから怒涛の半年間を過ごしたそうです。(取材・文=上田恵子)
乳がん手術後、認知機能が低下して
神奈川県に住む書評家の東えりかさん(62歳)が介護しているのは、神戸で一人暮らしをする姑。20年の秋口に、両乳房に乳がんが見つかったのがきっかけだった。
「検査の結果、義母のがんにはホルモン剤が効かないことが判明しました。外皮にも浸潤が始まっていたため、89歳という高齢ながら手術をするしかない。しかも右の腫瘍は新生児の頭くらい、左の腫瘍もピンポン玉ほどの大きさで。手術は成功したのですが、大変だったのはそれからです」
通院のたびに検査で2〜3時間待ちは当たり前という状況がストレスになったのか、義母の認知機能はどんどん低下。さらに術後の入院中にはせん妄の症状が強く出たため、1週間で強制退院させられてしまったのだ。
「慌てましたが、ケアマネジャーさんの尽力で、なんとか介護老人保健施設(以下、老健)で受け入れてもらえることに。認知機能もかなり回復したので、ホッと胸をなでおろしました」