大学院全入時代へ
学部のみならず、大学院入試もハードルが下がった。筆者が学部生だった80年代なら、母校の上智大大学院修士課程に受かるには、英語ともう一つの指定外国語(独仏西など)の二種類の語学筆記試験に加えて、専門分野(国際政治など)の筆記試験と指導教授予定者による面接試験があった。
ところが、今や英語はTOEIC、TOEFL、あるいは実用英語技能検定(英検)などの資格試験が一定以上なら筆記試験は免除。修士論文のテーマと研究計画書を提出し、面接のみで合格できる大学院もある。
英語を入試で必須にしない大学院も出てきており、大学院生倍増化計画もあるため、さらなる倍率低下が進んでいる。今後はごく一部を除いて、実質的に「大学院全入時代」も到来するだろう。そのくらい大学院のハードルが低くなっているのだ。
一方で大学(院)は、インバウンド(中国や韓国を中心とした外国からの観光客、学生などの日本への流入)の優秀な留学生を受け入れるために、日本語教育を充実させてきた。英語授業の導入も、グローバル人材育成を目標に推進中。
ところがコロナ禍などで、インバウンドが一時的に止まったこともあり、今後は若者だけでなく、社会人入試で年齢層の高い学生を学部や大学院に受け入れていく傾向がさらに強まる。
一例としては、大卒でなく、専門学校卒業の安倍昭恵元首相夫人のように、いろいろな活動履歴をもって大学院修士課程(立教大)に入り、修士号を取得するようなケースが増えていくだろう。