オリンピック中止論、その時電通は
それに対して男性は「中止の可能性についての計算式が無いのは怠慢だ!」と叫んだのです。そして「役員は自分たちを怠慢だと認めますか?ああん?」といった感じに詰め寄りました。
電通側は「怠慢とは思わないけれど、貴重な意見として頂戴いたします」と回答しました。その時の私は「2020年の東京オリンピックが中止なんてありえない。何の恨みがあって難クセをつけるんだ」とその男性を鼻で笑ったのですが、実際には新型コロナウイルスの世界的な流行という未曽有の事態で、オリンピック中止論も起きたのです。
彼は、このことを予見していたのか! (それはない)
「中止の可能性はゼロではないかもしれないけれど考えていない」と言った電通のその後の株価推移を見ると、この株主総会当時、2016年3月25日の時点で5,600円だった株価は同年終値(12月30日)5,500円。ほとんど変わりないですが、もちろん年間では上がったり下がったりしています。
2016年は電通の長時間労働問題がかなり話題になった年で、年末の「ブラック企業大賞2016」では大賞に選ばれてます。それでもまだこの時点ではさほど株価の下落はなかった。ちなみに翌2017年5月には6,500円を超えています。
しかし、2017年からも続く過重労働問題やインターネット広告での詐欺事件など、相次ぐネガティブニュースに加え、楽天やヤフーなどの勢いに比べて業績も低迷し、ジワジワと株価は下がっていきます。2019年の終値は3,775円。それでもまだ私は、東京オリンピックに向けて関連イベントもたくさんあるし、そのうち追い風が吹くだろうと期待していました。
それが2020年の3月末、新型コロナウイルスの感染拡大からオリンピック開催延期が決まると、電通株は急降下。2020年4月6日には1,806円の安値を付けました。私の買値の半分以下。まさかこんな日が来ようとは。