そして当時、身体に染み込むくらい聴いていた安室さんのほかに、同じ頃に活躍していたSPEEDさんたちにも大きな力をもらったと感じています。グループ最年少の島袋寛子さんと私は同じ学年。彼女たちがスターダムを駆け上がっていく姿に、とても勇気づけられました。私も舞台に立ちたい! というより「あんなに頑張っている子たちがいる、私も頑張らないと」という気持ちでしたね。

 

ピアノだけに集中し、東京の音大へ

でも、私はいろいろなことに手を広げられるタイプではなかったので、ピアノだけを頑張ることを心に決め、中学高校の部活は諦めて、すべてピアノの時間に充てていました。その後、無事に東京の音大に入学。東京に憧れていた気持ちが強かったからなのか、上京してきた時は街中の人が洗練されているように感じましたね。人の多さやスクランブル交差点にも純粋に驚きました。(笑)

それまで、実家は兵庫だったのですが、父が東京に単身赴任していたこともあり、私の大学合格と共に家族全員で東京へと移ります。大学時代から、女優のお仕事をいただくようになったのですが、実家が拠点だったので、精神的にも肉体的にも安定してお仕事に向き合うことができたと思います。

母は厳しい人ではなかったです。小さな頃から「アニメを見るのは練習終わってからだね」なんて言いながら上手に導いてくれました。今となっては「一つのことを続けていて本当に良かったでしょう?」と言われています。

 

女優という孤独な仕事に向き合って

女優さんのお仕事とピアノのお仕事には、共通点がありますね。今までの人生経験や、自分が何を感じてきたかということが試されるというか。役や曲の中に、これまでの自分を表現するところが同じだと思います。女優さんの仕事には、華やかな印象を持っていましたが、実際はとても孤独な仕事。撮影現場は多くの方に囲まれ、楽しい時間ではありますが、その瞬間に備えるために台本を読んで、セリフや役作りについて考えるには、ひたすら自分に向き合う時間が必要です。

2020かつしかシンフォニーヒルズ公演より(©RAKUMAN)

コンディション次第で、多くの方にご迷惑をかけてしまうこともあるお仕事なので、日頃からストレスを溜めないように心がけています。と言っても、もともとストレスを溜めにくい性格ではあるんです(笑)。「ストレス解消のために何かする」ということはなくて、私にとっては「日常を大事に過ごすこと」がストレスを溜めない秘訣。健康のために積極的にしていることは野菜ジュースを飲むことくらいです。