土砂は伊豆山港まで到達し、漁業への影響が懸念されている(写真提供:読売新聞社)

これまでの経験やデータは役に立たない

私はふだんから防災グッズを用意しているのですが、今回の大雨でも懐中電灯、防災ラジオに加え、万が一、土砂が家に流れ込んで閉じ込められたときに助けを呼べるよう、災害時用ホイッスルを枕元に用意して就寝していました。

1階の寝室にいても2階の屋根に打ち付ける雨音が大きく聞こえていましたから、明日も続くなら土砂が1階に流れ込む危険性を考えて2階で寝よう、もっと続くなら東京に避難したほうがいいかもしれない、とも考えていたのです。

長雨に加えて豪雨が止まないことへの危機感。ニュースで報じられる限られた観測地点のデータによる机上の分析と、現場の状況は、こうも違うものか……。災害が起きてすぐに、地元ではSNSを使った情報交換がされていて、それを随時見ていた私も大変なことになったという思いでいっぱいだったのです。しかしテレビなどでは、災害が起きてしばらくたたないとニュースにはなりません。

だからこそ、報道を頼りにするのではなく、自分たちの感覚や周囲の人からの情報を大事にしなければならないと思った次第です。

これからはどこでどんな災害が起きてもおかしくありません。「線状降水帯」という言葉だって、報道で使われ始めたのはここ数年のこと。日本は今や亜熱帯のような気候ですから、これまでの経験やデータは役に立たないと思ったほうがいいでしょう。