「僕は基本的に、《男は愚か。女は美しい》と思っていて。」

スランプの原因は「自意識過剰」?

俳優だけでなく、映画監督や脚本家だって、クリエイティブな仕事にはこういう悩みがつきものなのでしょう。でも「悩む」ことが、創造につながっているのかもしれません。

ある監督さんが、「書きたいものがない」「書けない」という状態が積もり積もって、ある時、そこからなにかがこぼれだす瞬間がある。それを待つしかないと言っていました。だから、ひたすら向き合い続けるしかない、と。なるほど、と思いました。

スランプの原因はいろいろあると思いますが、「自意識過剰」はそのひとつかもしれません。映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』で僕が演じている漫画家の俊夫も、そんな一面があります。

俊夫は結婚5年目で、黒木華さん演じる妻の佐和子も漫画家です。彼はかつてヒット作を世に出しましたが、スランプに陥り、今では佐和子のほうが売れっ子。時々、佐和子のアシスタントをするくらいで、しばらく自分の漫画を描いていません。

俊夫にとって、次の作品に期待するファンや出版社からのプレッシャーは、ものすごく大きいんでしょうね。アイデアのかけらが見つかった気がして、いざ原稿に向かおうとしても、自分が何を描けるのかがわからない。そういう心理状態は、僕もけっこう身近に感じられます。