義母は血圧が高めで、医師から水分をしっかり摂るように指導されている。また、認知症の進行を遅らせるために日記をつけることを勧められているが、「お茶は飲んでない! 日記はつけてない! いったいどうなってんねん!」と、やはり怒られてしまう。

 

「俺の母親をキツい口調で叱った!」と怒る夫

夫が言っていることは間違っていない。けれど、すぐ忘れてしまう義母にはどれも難しいことなのだろう。ましてや命令口調で言われたり、怒鳴られたりでは気の毒になってしまう。とはいえ、そこで口を出すとこちらにまでとばっちりが飛んでくる。私も娘もだんまりを決め込むしかない。

先日、義母が自分の部屋でガラスのコップを使い、お茶を飲んでいるのを目にした。万が一割れて細かい破片を踏めば、怪我をしてしまう。そこで「ガラスのコップは部屋に持ち込まないで」と、義母に声をかけた。

すると後ろから夫がすごい形相でやってきて、「俺が持ってきたんや! 割れることなんかない!」とすごむ。私は「絶対割れないなんてことはないでしょう? 破片で怪我をするかもしれないのよ」と言うと、夫は「割れる確率のほうが低い」と反論。

「その確率はゼロなの? 私は危険だから声をかけているの」と食い下がるも、「ゼロではないけど、あの部屋の形状を考えれば、割れる確率は低い!」とわけのわからないことを言い出す。

挙げ句、「俺の母親をキツい口調で叱った!」と怒るが、あなたがそれを言う? 耳を疑うとはこのことだ。

要は、夫は自分の行動が否定されたと思って逆上しているのだ。どう思おうが自由だが、迷惑な話である。私は微笑んでもいないが、怒りもしていない。毎日何度も同じことを言うのは疲れるから、日頃から淡々と声をかけるようにしているだけだ。このやり取りを聞いてオロオロしている義母も気の毒でしかたない。