イラスト:浜野史
家族の病をきっかけに、関係が修復されることもあれば、知らなかった一面を目の当たりにし驚愕することもあるようです。ヨドイエさん(仮名、52歳)は、認知症と診断された姑と夫の関係に頭を悩ませていて……

命令口調で怒鳴られる姿が気の毒すぎて

7年前に同居を始めた義母が、認知症と診断された。今は昨日のことも覚えていなければ、食事の内容どころか5分前のことも忘れてしまう。週に4日のデイケアに通い、月に一度、認知症専門医に診てもらう生活である。

私が何より戸惑っているのは、義母に対する夫の態度だ。大声で怒鳴る、偉そうに命令する、面と向かって文句を言う。暴言ともとれる発言が日常茶飯事。

義母はもともと食の細い人だったが、年を重ねてますます食べる量が少なくなった。なのに夫は、「ちゃんと食えって! そんなんやから認知症になるねん!」「ちゃんと食べへんから口が臭いねん!」と怒鳴りつける。

入れ歯にした義母に夫がブラッシングの指導をしている時も、怒号は飛ぶ。「まだや! ちゃんと磨けてないやろ!」。おそろしくて見に行ったことはないが、声だけ聞けば刑務所みたいな状況だ。夫が家にいる時は、義母が運動不足にならないよう散歩に連れ出している。それ自体は感心するが、やはり「散歩!」と命令口調なのだ。