介護のお金STEP(3)資産の管理方法を決めよう
認知症で意思能力がないと判断されると、財産保護のために銀行が口座を凍結することがあります。そうなると自分のための生活費や介護・医療費を引き出せなくなり、子どもがその肩代わりをしなければならなかったり、希望する介護サービスが選べない事態に陥る可能性も。
元気なうちに次の4つの選択肢から準備をしておくことで、認知症になっても資産をきちんと自分のために使うことができます。それぞれにメリット・デメリットがあるので検討してみましょう
●「生前贈与」のメリット・デメリット●
「年間110万円以下」の贈与税非課税枠を使って財産を渡した相手に、それを介護費用として使ってもらう
【メリット】
・法律や契約のしばりを受けないので、自由な介護費用の使い方ができる
・財産を減らすことで相続税対策になる
【デメリット】
・贈与したお金がきちんと使われているか、チェックすることが困難
・相続が発生した時に、家族がもめる可能性も
●「家族信託」のメリット・デメリット●
不動産や預貯金(現金)などの管理や処分を、信頼できる家族に託す契約を結ぶ仕組み。裁判所への報告義務はなく、受託者となった家族は財産を柔軟に使うことができる
【メリット】
・財産の管理・処分を託す先が家族なので、契約内容に本人の意思を反映しやすい(成年後見制度より自由度が高い)
・信託契約を結べば、意思能力に関係なく財産管理・処分ができる
【デメリット】
・認知症になった後では信託契約は結べない
・財産を管理する人に対する公的チェック機能はない
・信頼できる家族や第三者がいない場合は利用できない