解散の危機を乗り越えた「三軒茶屋の夜」

大橋 さすがに取っ組み合いの喧嘩をしたことはないけど、衝突したことはけっこうある。3人組なら多数決で決められるけど、2人組は意見分かれしたらどこまでも平行線だから。

常田 これはもう解散かなと思ったこともあった。

大橋 デビュー5年目くらいの時ね。ずっと忙しくてコミュニケーション不足だったというのが要因で、お互いにいろいろ溜まっていたんだと思う。もう限界だってなってしまって。1年間限定で2人での活動をストップして、リフレッシュを図ることにしました。その間に僕はシングル3枚とアルバム1枚を発表した。シンタ君は楽曲提供や他アーティストのプロデュースをしたり。

常田 タクヤは表舞台に立って、僕は裏方に徹していたので、音楽に対する温度差が生じてしまった。再びスキマスイッチとして活動しようという時に、僕はマイペースでやっていけばいいと思っていたけれど、タクヤは凄く前のめりだった。それで、三軒茶屋のとある店の個室でじっくり話し合うことに。

大橋 お互いに不満に思うことをぶつけあってね。「こういうところが気に入らない」とか、「ここを直して欲しい」とか。数時間経っても収集がつかないので、当時のマネージャーを呼んで意見を求めたら、「ずっと聞いていたけど、これは〈解散〉のための話し合いじゃないだろ。二人はスキマスイッチを続けることを大前提としてぶつかっているとしか思えない」と。確かにそうだなと僕は思って。

常田 僕もハッとして。そうしたらマネージャーが「だからこの話はもう終わり」と打ち切ってくれたんだよね。で、次の日は仕事を淡々として。そこからはどんな小さなことでもじっくりと話し合って決めるようになった。だからあの「三軒茶屋の夜」は凄く意味のある出来事だったんだ。

大橋 今となっては懐かしいね。

常田 なぜか新しいアルバムを発表するたびに思い出すけど。