われわれ国民が皇室に与える影響

辛酸 皇室の存在意義などが問われることもありますが、やはり天皇陛下が代々いらっしゃる国ということで、世界から敬意を払ってもらえるのかな、と私は感じます。

山下 それと、天皇や皇后の人柄も大事でしょうね。今後、しょうもない天皇が出てくる可能性も、ないとは言えません。

小田部 天皇といっても聖人君子ばかりではないというのは歴史が証明していますから。悪だくみをする側近に左右されてしまうこともありました。

辛酸 雄略天皇みたいに、残虐な人が現れてしまったり。

山下 立派に育っていただくためには、教育はもちろんのこと、国民も温かく見守らなくてはいけない。国民の感情や言動は、皇室の方々に大きな影響を与えています。私たちの尊敬の念や信頼の気持ちが皇族の方々の勇気や自信となり、国家国民のために働こうというモチベーションにつながると思いますから、皇室と国民が良好な関係を保つのは、大事なことです。


2019年12月8日、「少年の主張全国大会」の会場に到着し、出迎えを受けられる秋篠宮家の次女佳子さま、長男悠仁さま(写真提供:読売新聞社)

辛酸 悠仁さまは、宮内庁の文化祭で精巧な信号機の模型を出品されていました。あれはなにか国民のために、道路事情を変えたいとか、今後そういう思いにつながっていくでしょうか。

山下 さぁ、どうでしょう。これからやりたいことを見つけていかれるのかな、と思っていますが。

小田部 直近の有識者会議(21年7月26日に開催)では、皇位継承について「歴史や伝統は大変重く、有資格者がいる現状を踏まえ、大きな仕組みの変更は十分慎重でなければならない」という指摘がなされました。悠仁さまの次代以降については「将来、判断すべき事柄ではないか」と、結局すべて先送りです。

山下 男系男子を維持すべきだという人は、今の法律を変える必要がないから、普段は黙っている。そして、女性・女系の議論が出た時に、反対すべく声を大にする。この20年近く、ずっとその繰り返しでした。安定した皇位継承は喫緊の課題だと言われていたのに、10年後、20年後も「喫緊の課題」と言い続けている気もします。要するに議論だけして結論を出さない。

小田部 そうなりそうですね。

辛酸 愛子さまも、20代で結婚される可能性は大いにありますよね。

山下 佳子内親王殿下にしても愛子内親王殿下にしても、10年先には皇室にはいらっしゃらないかもしれません。

小田部 とにかく、愛子さまと悠仁さまがまだお若いうちに将来の基礎を固めないと、皇室存続は危ういと思っています。