奇跡のきょうだいシンクロショット

後悔しない看取りを考えて

 前の猫を飼っていたとき、最後の看取りが本当につらかったんです。腎臓病を患い、ご飯もぜんぜん食べなくなって。オシッコも出にくくなったので、毎日点滴するために入院して治療もしましたが、結局たった3ヵ月くらいで亡くなってしまいました……。最後は病院で息を引き取ったので、かなりショックでしたね。

片川 看取りは難しい問題です。ご家族によって、入院してとことん治療してほしいという方もいれば、最後は自宅で看取りたいという方もいる。点滴をして延命治療をするのか、それとも自然な形で見送りたいのか。どんな形だったら自分が後悔しないかを、元気なうちに、家族で一度話し合っておくのがいいと思います。

 延命治療は人間のエゴだと思って、私もすごく悩みました。でも、この子と離れたくないという気持ちが強くて。

片川 獣医としても、ご家族の意向に沿って最善の治療をしていきたいと思っています。かかりつけ医ともよく相談しておくとよりよいですね。

 逆に、最近はペットの高齢化も進んでいるので、飼い主より長生きする可能性もありますね。飼い主が、病気で急に倒れてしまうことも。

片川 たしかに問題になっていますね。そのためにも、自分以外の誰かにペットの今後を託せるよう、あらかじめ準備しておくことが大事です。小さいうちに、飼い主以外の人からご飯をもらう、自宅以外の場所にお泊まりすることに慣れさせるなど、適切なトレーニングをしておきましょう。

 うちの子たちは、わが家に出入りしているスタッフたちにもなついているのでよかった! 自分以外の人にもまかせられると思えば、いくつになっても新しいペットと暮らすことをあきらめずにすみますね。

片川 一般に、60代以上の人は新しいペットを飼うことは難しいと言われていますが、シニアの方は、すでに性格のわかっている成犬・成猫を迎えるという方法もあります。高齢になったからと言って、一概にペットとの暮らしをあきらめる必要はありません。

 私の場合も、マルとオレオが自分の人生を変えてくれたと言ってもいいくらい。とくに、このコロナ禍で仕事が次々にキャンセルになったとき、「これからどうしよう?」と不安でいっぱいだった心が、2匹のおかげで癒やされました。マルとオレオは、たとえ何があっても自然体。彼らのように自分のスタイルで、ストレスフリーで生きることが人間にも一番大切なことなのだと、2匹が教えてくれたんです。

片川 ペットはそれだけ大切な存在ですから、できるだけ長く一緒に暮らしていくためにも、やはり日頃から健康には気を配っておいたほうが安心ですね。

 はい。本当にためになるお話の数々、ありがとうございました。歯磨きペースト、さっそく使ってみようと思います!