握ることで運動能力が育つ、が持論。おむつ替えのたび、璃花子さんに親指を握らせてつり上げた(写真提供:池江さん)

水泳を通じて人間性を養ってほしい

あのとき教室を開く決心をしていなかったら、私は幼児教室に通う母親の立場で終わっていたでしょう。いま振り返っても、人生は面白いな、と思います。人に何かを教えることなど、まったくの未経験。でもなぜか「私にはできる」という自信がありました。

実際、教室を始めてすぐのころ、保護者の方から「先生、教え方が上手ですね」と褒められたのを覚えています。私は家事でもなんでもスピード重視。効率的に終わらせたいタイプで、その点が右脳教育のメソッドに向いていたのかもしれません。

感性やイメージを司る右脳を活性化させる教育は、リズムやテンポをとても大事に考えているんです。高速で行うことは集中力を高めますから。

最初は7人の生徒で始め、5年後にはもうひとつ教室を開きました。ただ、保護者の方とマメにコミュニケーションをとれる規模が理想的だと考えて、いまは一教室に絞っています。

3人の子どもたちは学校から帰ると教室へ寄って、ほかの生徒さんと一緒にレッスンを受けたり、遊んだり。璃花子が小学校に上がるころに離婚したので、シングルマザーとしての苦労はありましたが、子育てはとても楽しかった。

特に末っ子の璃花子には「元気に育ってくれればそれでいい」と過度な期待をしなかったのが、より彼女をよい方向に導いたのかもしれません。