感情をコントロールすることは不自然?
清水 海外でライブをやったことは?
尾崎 いえ、ありません。
清水 ハリセンボンは?
箕輪 一度だけ、上海で新喜劇のような出し物をしている公演に、ネタ出演でオファーをいただいて。あまりよく覚えてないんですが、けっこう笑ってくれていたと思います。
尾崎 そのときは日本語でやったんですか?
箕輪 はい。確かお客さんは、向こうに住んでいる日本人だったので。
清水 ああ、なるほどね。
箕輪 孫を見るような、久々に故郷に触れたような感じで接してくださって。「笑いを楽しむぞ」というのとは、ちょっと違った雰囲気でしたけど。
清水 ある男性の芸人さんが中国でネタをやったんだって。あっちは笑いも健康のためっていう意識が強くて絶対に笑ってくれるんだけど、ネタの途中でシャーンってドラが鳴って、それを合図にみんなが大爆笑、というシステム。
尾崎・箕輪 あははは。
清水 打ち合わせのときに「ネタのここのところで鳴らしますね」って言われるから、自分の芸で笑わすわけじゃないんだと思うとちょっと空しかった、って言ってた。
箕輪 むしろお客さんは、ひたすら「シャーン」を待ってるんでしょうね。
尾崎 それだったら、言葉の違いがあまり意味を持たないのかもしれませんね。ある種、感情をコントロールできている、ということでしょうか。
清水 そう。感情をコントロールするのは不自然、という考えがないのかもしれない。無理やりだったとしても、みんなで笑えればそれでハッピー、という。
尾崎 逆に、日本人はそのあたりがすごくシビアな気がしますね。心底笑っているのか、泣いているのか、とことん突き詰めるところがあると思います。
清水 「謝罪会見のその涙は、本物ですか?」とかね(笑)。私もそういう目で見てしまうこと、ある。
尾崎 だから僕も、嘘くささを気にしてしまうところがあるのかもしれません。ちょっと窮屈ですね。