撮影:藤原江理奈
清水ミチコさんがかねてモノマネをしてきた尾崎世界観さんと、同じく清水さんと交流の深い箕輪はるかさん。3人の話からは、人が「ありのままの自分でいる」ことの難しさを突きつけられ、ハッとするような気がします。

それぞれ異なるタイプのライブステージに立つ三人ですが、ライブに対する思いもそれぞれ違うようでーー。

アンコールは気恥ずかしい?

清水 いまや尾崎さんは、観客が何万人もいる屋外ステージに立ったりするわけですよね。人の波に呑み込まれるような怖さを感じることってないですか?

尾崎 それはぜんぜんないです。長い期間お客さんがまばらなライブハウスでやってきたので、むしろ人に飢えていて。あのとき足りなかった分が返ってきたような感覚です。年末調整みたいに。(笑)

清水 あははは。熊本でクリープハイプのライブを見たとき、ずいぶん涼しい顔でやってるなと思ったの。ロックフェスだったと思うんだけど、フェスって自分たち目当てじゃないお客さんが大勢いるものでしょう?

尾崎 そのことは、やっぱり意識しますね。ワンマンライブでは目一杯サービスをするけど、フェスでは媚(こび)を売らず、出番が終わったらさっと帰ります。

清水 あ、いま「媚」って言っちゃった。(笑)

箕輪 「この場でファンにしてやろう」とは思わないんですか?

尾崎 「ありがとう! ありがとう!」なんてわざとらしくやると、「いや、お前を見に来たわけじゃないし」と言われそうで。すっと去ったら「逆になんか気になる」と思ってもらえるかもしれないじゃないですか。

清水 尾崎さんって、妙なところで清いんだよね。アンコールのときも、バンドのTシャツ着なかったり。CMしない。(笑)

箕輪 え、なぜ……。着たらTシャツの売り上げ、伸びるじゃないですか。

清水 それどころか、こないだは「アンコールはしません」って宣言しちゃった。

箕輪 コンサートなのに? ファンはがっかりしないですか?

尾崎 「やるべきことは、全部本編に組み込んでいます」というスタンスで行くことにしたんです。好きなミュージシャンが、拍手をしたら出てきて、はけて、また出てきてというのを、ほんとは見たくないじゃないですか。

清水 そんなことないよ。みんな普通にアンコール聴けたら嬉しいと思うけど。

尾崎 いや、あんな気恥ずかしいものはないのでもうやめました(笑)。ハリセンボンの単独ライブのときはどうしていますか?

箕輪 芸人の場合、ネタの最後の「ありがとうございましたー」できっちり終わることがほとんどなので、そもそもアンコールっていう発想がないんです。

清水 私はあるよ。すごい上機嫌で出て行くの。(笑)

箕輪 清水さんのステージは、音楽の要素が大きいですから。

尾崎 そうですね。カテゴリーとしては音楽寄りかもしれないですね。