清水 芸人さんも、自分たち目当てじゃないお客さんを相手にすることのほうが多いよね。
箕輪 はい。単独ライブ以外は、基本そういうものです。
尾崎 そうなんですね。でも、100%自分たちを目的に来てくれている人と、そうでない人の前で演るのとが同じテンションだったら、それはそれで嘘くさくないですか。
清水 そこは演芸系と芸術系の違いだなあ。
尾崎 もし自分が観客の立場だったら、そういう嘘くささはわかるし、嫌だなと思います。だからフェスのときは、さっと帰ることもあれば、MCで「どうせ、次の出番のバンドを待ってるんでしょ」とあえて言うこともあります。
箕輪 尾崎さん、本当に清いんですね。
観客の姿こそ最高の「景色」
清水 ハリセンボンは、地方に呼ばれることもけっこう多い?
箕輪 そうですね。地方は、芸人が来ること自体珍しいというところがあるので、基本的にどんなネタをやってもワアッと盛り上がってくれます。
尾崎 僕は地方に行っても、観光に出かけたり、飲みに行ったりしないんですよ。ライブの前日に着いたら、ずっとホテルの部屋に籠っています。
箕輪 もったいない。名物を食べに行ったりしないんですか?
尾崎 行かないですね。でも、ライブ会場でその土地のお客さんたちが嬉しそうにしている姿こそが、最高の観光スポットだと思っているので。……とか言うと、これも嘘くさいと思われるんでしょうけど。(笑)
清水 だから思わないって(笑)。でも、すごくいいことを言ってる。
尾崎 音楽でその場に人を集められるのを、本当に幸せなことだと思っていて。ライブは2時間ぐらいですけど、お客さんたちと一緒に過ごしているだけで、だいたいその土地のことがわかるように感じられるんです。