(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
フリーランスのライター・神舘和典さんは、60代を迎えライターの仕事が激減。将来に不安を感じたことをきっかけに、様々な業種の仕事に挑戦してきました。内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳以上の就業者数は21年連続で前年を上回っており、多くの60代が働くなか<定年後の再就職先>に悩む人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、神舘さんが自らの職業体験を赤裸々に綴った『60歳からのハローワーク』から一部を抜粋してお届けします。

オートレース場で警備

街を歩いていると、商業施設の入口や工事現場や駅など、さまざまな場所で警備員と出会う。その多くが60代以上に見える。実際に、定年後の男女の多くが警備の仕事に就いている。掃除やビルやマンションの管理と並んで、年配者の3大再就職業と言っていいだろう。

しかし、警備系の会社の面接を受け、けっして誰にでもできる仕事ではないことを知った。少なくとも自分には難しい。炎天下でも、豪雪でも、1日8時間労働。しかも、1度に3時間立ち続けると言われた。頻尿の身には、かなりハードルが高い。

そんなとき、埼玉県の川口市管轄のオートレース場の警備の話をいただいた。那須の山小屋への食糧運びをアテンドしてくれたサカキバラさん(仮名・以下同)の紹介だった。警備の仕事が重労働であることは以前の面接でわかった。しかし、オートレース場の警備は、終日炎天下に立つわけではなさそうだ。スタンドの客席の広い範囲に屋根があり、有料の会員席は建物内にあり、夏は冷房、冬は暖房が効いている。休憩も兼ねた待機時間も十分にもらえそうだった。これならばやれるかもしれない。

このレース場は1952年にオートレース場になり、半世紀以上になる歴史ある会場だ。競走路は1周500メートル。客席数は約2万7000席。ここ数年人気に翳りが見えてきたとはいえ、グレードの高いレース開催日は約5000人のお客さんが集まる。

開門は14時30分。21時前にレースが終わる。開門前の13時から夜21時までの勤務だった。