長い待機時間に疲労回復
次の仕事は巡回。ベテラン警備員の後について、スタンドや車券売り場をまわった。巡回コースは決められていない。どこをチェックするべきか、警備員自身の勘に任せられていた。
「今日は涼しくていいね」
「今日は運に見放された。勝てないから、早めに帰ることにしたよ」
あちこちでお客さんに声を掛けられる。実際1年も勤めると、ほとんどのお客さんとは顔見知りになるそうだ。
観客数のカウント〜待機〜巡回〜待機〜カウント〜待機……。この流れで1日の仕事が終わる。
会場はもっと荒れていると想像をしていた。ギャンブルは、勝つ者もいれば、負ける者もいる。興行の仕組みを考えると、負けるほうが多いはずだ。所持金が減ってクダを巻いたり暴れたくなったりしても不思議ではない。しかし、会場は終始穏やかだった。
ほかの警備員さんに聞くと、以前は激しかったらしい。怒鳴るお客さんもいれば、発券所の割り込みなどで喧嘩も起きたそうだ。しかし、最近は静かだという。一番の理由は、お客さんの高齢化。70代以上が増え、おとなしく車券を買い、観戦している。
警備員が働く環境はさまざま。工事現場や自動車の誘導は体力的にかなり負荷がかかる。でも、このオートレース場のように、身体を休ませられる待機時間がたっぷりと確保されている職場ならば、ぜひ自分も働かせてもらいたい。
給与はなかなか教えてもらえなかった。ただし、どうやら日給月給制らしい。毎年年度初めに年間の勤務日数の提示があり、開催の有無により給与月額もまちまちとのことだ。
はっきりと言えるのは、『60歳からのハローワーク』で紹介した仕事のなかでは、この警備が一番身体への負担は少なかった。
実は、オートレースのほかにも公営ギャンブルの警備の仕事に申し込んだ。競馬の大きなレースの仕事だった。時給は2000円。1日に2万円近い収入になる。しかも、約1000人という大きな求人だった。「年齢不問」「経験不問」とされてはいた。しかし、年寄りだからか、ほかのなにかの理由かはわからないが、書類選考で不採用になった。
※本稿は、『60歳からのハローワーク』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
『60歳からのハローワーク』(著:神舘和典/飛鳥新社)
就活経験ゼロの63歳ライターが“仕事探しの旅”へ。
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