「Eco通帳」は特定条件を満たすとATM利用手数料が無料に。最長で10年分の明細も確認できる。なにより、何冊もの通帳を管理する必要がなくなるのだ
専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、経済ジャーナリストの荻原博子さんが、「紙の通帳が消える日」を解説します。

ネットバンキングを始めるきっかけに

三菱UFJ銀行は、2019年6月10日以降新しく口座を開設する顧客には、原則として「紙の通帳」を発行しないことになりました。かわりに、ネットバンキングのサイト上で入出金明細が確認できる「Eco通帳」を利用することになります。

スマホやパソコンを持たないなど、ネット環境がない人は、希望すれば従来通り「紙の通帳」も発行可能です。ただし、Eco通帳と紙の通帳の併用はできません。

紙から電子への移行は、他行でも順次進められていくでしょう。日本銀行の超低金利政策が続くなか、多くの銀行が収益悪化に苦しんでいます。なかでも、紙の通帳は、1口座あたり毎年200円の印紙税を納める必要があり、銀行の経営を大きく圧迫していました。いっぽう、電子通帳には税がかかりませんから、大幅なコストダウンになり、さらに通帳発行に関わる業務も減らすことができます。

これを機会に、ネットバンキングを利用してみませんか? 慣れてしまえば、紙の通帳より使い勝手がよいのです。振り込みや引き落とし状況がリアルタイムで見られるだけでなく、口座間の資金移動がスムーズ。真夜中でも思いついたらいつでも手続きができて、翌日銀行業務が始まり次第、完了します。しかも、振込手数料が窓口での手続きに比べ半額以下になるケースもあり、大変おトクです。

さらに、いちいち銀行に行って記帳しなくてもいいので、外出が億劫(おっくう)な年配者ほどオススメ。「よくわからないし、面倒なのでやっていない」という方は、お子さんなどに手伝ってもらい、チャレンジしてはどうでしょう。