フェイクニュースの危険

「今後ネット選挙が進むと、市民はSNSにあふれる虚偽の情報にさらされる可能性が大いにある。真実なのかフェイクニュースなのか、自らが見極めることが重要になってくるだろう」=中村氏

飯塚今後の選挙はネット抜きでは考えられません。ネットにおける情報は、その広がる早さ、規模において段違いの影響力を持っており、個々の候補者の主張を迅速に、かつ広く伝えるメリットがある。ただ、一般論としていえばそこにフェイクニュースが紛れ込む危険はどうしてもあり、有権者にはその情報を吟味するリテラシーも求められます。情報の真偽を識別する教育の必要も含め、私たちはネット選挙を適切に活用する方法を模索していくべきではないでしょうか。

吉田逆説的なようですが、ネット上の情報に対するリテラシーを高めるためには、旧来のメディアを再評価することも重要だと思っています。新聞の選挙報道は信頼性が高いですから、情報の「目利き」になるためには今後も欠かすことができません。その点で若干気になるのは最近のテレビです。選挙の公平性を保とうとするあまり萎縮しているのか、投票日前の選挙報道は近年減ってきているのではないか。ネット選挙の弱点を補うという意味でも、放送メディアの奮起を期待したいものです。

解説者のプロフィール

飯塚恵子/いいづか・けいこ
読売新聞編集委員

東京都出身。上智大学外国語学部英語学科卒業。1987年読売新聞社入社。 政治部次長、 論説委員、アメリカ総局長、国際部長などを経て現職。

 

吉田清久/よしだ・きよひさ
読売新聞編集委員

1961年生まれ。石川県出身。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。1987年読売新聞社入社。東北総局、政治部次長、 医療部長などを経て現職。

 

提供:読売新聞