概要

旬なニュースの当事者を招き、その核心に迫るBS日テレの報道番組「深層NEWS」。(月〜金曜 午後10時から生放送)読売新聞のベテラン記者で、コメンテーターを務める飯塚恵子編集委員と、元キャスターの吉田清久編集委員が、番組では伝えきれなかったニュースの深層に迫る。

自民党の圧勝で終わった7月の参議院選挙では、SNSなどネットを活用した勢力の躍進が注目された。この現象が意味するものは何か。7月15日と8月18日の放送に出演したゲストの発言を踏まえて、編集委員2氏が語り合った。

ネット選挙新たな展開

「参加できる政党」が新風

「今回議席を獲得した参政党は、『選挙ボランティアをやろう。政策も一緒に作ろう』と訴えて『参加できる政党』を打ち出した。そうすることで有権者に『こんな政党は今までなかった』と思わせたところがある」=能條桃子「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事(7月15日)

「参政党の候補者はテレビでは聞けない(過激な)内容の話をしているということで、ユーチューバーが投稿した街頭演説の動画が注目され、ネット上に拡散されていったようだ」=中村佳美 ネットコミュニケーション研究所代表(同)

飯塚2020年に結党したばかりの参政党が比例選で1議席を獲得した上、得票率2%以上を満たして公職選挙法上の政党要件もクリアしたのは驚きでした。とりわけネットでこれだけ支持を広めた点で、日本の政治に変化が起きつつあることを実感しました。

自民党大勝…野党や8党「細分化」©️日本テレビ

吉田同党は、若手地方議員などが政策提言グループとして10年に結成した「龍馬プロジェクト」の流れをくむ政党で、「天皇中心の国家」や「反ワクチン」などを訴えています。大手メディアでは「諸派」扱いで選挙中ほとんど報道されませんでしたが、その主張はSNSなどネット上で若い世代の注目を集めたとされます。「自分の声は既成政党に届かない」と感じている人たちは相当数いて、そうした人々を糾合すれば一定の勢力になり得る。ただ、同党にはスローガンはあっても具体的な政策がなく、危うい感じもある。政策立案などの「見える化」を進め、風頼りからどう脱することができるかが今後のカギでしょう。

「党員が決めたことに議員が従う。これが近代政党の大事な点で、我々は組織政党を目指す。日本で一番組織化されているのは公明党。我々は宗教団体のバックはないが、国民の声を吸い上げる一つの形を作る」=参政党副代表の神谷宗幣参院議員(8月18日)

「党員の意思統一をどうやるかが大事。人気投票のようになると不安定になる。双方向のやりとりが重要だろう」=飯尾潤・政策研究大学院大教授(同)

飯塚面白かったのは、当選した神谷氏が公明党のような組織運営をモデルにしている、という点です。さらに飯尾氏が「つまりイデオロギーのない共産党のようなものか」と問うたのに対し、神谷氏は「イデオロギーはあるが、共産党ほど強くない」と主張。一方で、反グローバリズムという点では「共通項がある」と述べました。国政政党として軸足をどのように定めていくのかが、現時点ではまだ茫洋としており、この点、非常に重要です。注目していきたいです。

”参加できる政党”参政党とは©️日本テレビ