”セックスレス”と”鉄道”に共通点が!?
酒井 100年で変わったことといえば、性生活について。昔は娯楽がセックスくらいしかなかったせいか、「夫から毎晩求められるけど、勘弁してほしい」などと読者は嘆いていたけれど、今の悩みは「私はしたいのに、夫は応えてくれない」(笑)。平成の性愛特集では、マスターベーションのためのグッズまで紹介しています。こんな事態になるなんて、昔の人は想像もしなかったでしょうね。
原 子どもの頃、『婦人公論』のことを母親が「あのエッチな雑誌ね」と言っていた記憶が。子どもの目に触れさせてはいけないという印象が、僕の中に刷り込まれています。(笑)
酒井 性についても、真面目に考えてきた雑誌ですから。昨今のセックスレスの原因はなんだと思います?
原 うーん、男性が消極的になるとすれば、その背景にあるのは、性のバーチャル化じゃないですか。アダルト動画も、今ではインターネットなどで簡単に見ることができる。
酒井 現実世界で、女性と関わらなくてもすむわけですね。
原 セックスは大切なコミュニケーションの一つですが、それがどんどん希薄になっている。でも、今では他人とがりたくない人たちがあちこちに増えていますよ。たとえば鉄道の車内にも、その変化がうかがえます。
酒井 ここで鉄道が出てきますか! さすが「鉄」学者!
原 昔の列車はボックス席が当たり前でした。つまり、コミュニケーションを前提とした座席配置になっていたんです。ところが今は、乗客同士、目を合わせないロングシートにしたほうが乗客に受ける。そのようにコミュニケーションを避ける空気と、セックスレスには関係があるのではないでしょうか。
酒井 一方、男性週刊誌では、「死ぬまでセックス」という特集が組まれています。女性も「したい」、男性も「したい」、だけどセックスレス。鉄道にたとえるなら、交わらない線路のよう……。(笑)