イラスト:花くまゆうさく
離れて暮らしていると、親や家族に関する心配の種をつい放置しがち。しかし、しっかり向き合い情報を集めれば、必ず解決策が見つかります。今回のお悩みは…(イラスト=花くまゆうさく 構成=村瀬素子)
《質 問》
実家は古い一軒家で誰も住んでいません。管理をするのも大変だし、田舎にあるから今売っても損しそう(59歳・会社員)

 

《プロの回答》

回答者:上田真一(NPO法人 空家・空地管理センター代表理事​)

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特に戸建ての場合、構造部に木材が使われていることが多いため、人が住んでいないと湿気がこもって劣化が進みます。雨漏りが発生し、最悪の場合は倒壊の恐れも。加えて、庭の木や雑草がぼうぼうと茂って虫が発生し、害獣が寄ってきたり、不審者が住みついたりするケースもあります。安全や衛生、防犯の面から近隣に多大な迷惑をかけてしまうことになるのです。

こうした空き家問題を背景に、2015年に「空家等対策特別措置法」が施行されました。家を管理する義務は所有者にあります。それを怠った問題のある空き家は、所有者に対して、行政から助言・指導が入り、改善されない場合は、住宅用地の固定資産税の優遇が受けられず、税金が最大6倍に増額。最終的には行政が所有者に代わって家を解体するなどして、その費用を請求されることもあります。

そんな事態にならないようきちんと管理するならば、月に一度ぐらいは実家に通って換気、点検、掃除をする必要が。労力と時間だけでなく、実家が遠方にあるほど交通費などの費用も膨大にかかります。

質問者は「今売っても損しそう」ということですが、年月が経つほど建物は老朽化し、売却条件は悪くなる一方。そもそも長期的に見て今後の日本では、不動産価格が下がると想定されます。先送りしていいことは何もないので、早めに取り組むことをおすすめします。