病気が原因のひきこもりなら、障害年金も
また、お兄さんが一度も働いたことがない場合、発達障害など、何らかの疾患が隠れていることも考えられます。病気が原因であれば障害年金をもらえる可能性が出てくるので、ぜひ精神科や心療内科を受診するように促してください。
病院に連れて行くのが難しい場合は、訪問診療をしてくれる医師を探して来てもらいましょう。診断書さえあれば、手続きをするのは家族でも構いません。
診断の結果、仮に2級の障害年金がもらえたとすると月に約6万5000円。そのうち1万5000円をお兄さんにお小遣いとして渡し、残りの5万円を積み立てていくのです。たとえば40歳から5万円ずつ貯めていったとすると、お兄さんが60歳になった時点で蓄えは約1200万円になります。
障害年金は65歳を過ぎてももらえるので、貯蓄を切り崩せばお兄さんの生活にはかなり役立つはずです。障害年金は受給できないけれど、親がお兄さんのぶんの国民年金を払っているケースでは、65歳になった時点で年金がもらえるようになります。
相談者のお兄さんが何歳でひきこもったのかは不明ですが、いじめなどが原因で学生時代に始まった場合、親が亡くなった途端に“在宅ホームレス”になってしまう可能性があります。
公共料金の手続きや払い込みの方法がわからず、電気・ガス・水道がすべて止まった部屋に暮らし、トイレだけ近所の公園で済ませているという人が実際に出てきているからです。自分が亡くなった後に子どもが困らないよう、親には自分が元気なうちに最低限必要なことを教えておいてもらう必要があります。
そしてもう一つ気をつけていただきたいのが、ひきこもりの改善をうたった団体です。インターネットで検索をすると何件も広告が出てきますが、数百万円もの大金を払って当人を預けたところで、ひきこもりが改善する期待は持てないと思います。
大切な親の老後資金を奪われないよう、くれぐれも注意してほしいと願います。